《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第14章 顔のない足音
9月に入っても、相変わらず暑い日が続いていた。
私は捜査一課で、ある資料を読み直していた。
『洋館殺人事件』
カラ松さんが洋館で被害者になったあの事件だ。
私とカラ松さんは、子供の時に一体どこで出会っていたのか――。
少しでもヒントが欲しい私には、この資料ぐらいしか思い当たるものはなかった。
ゆっくりと丁寧に資料を読み進めていく。
ふと、カラ松さんの家族について書かれた欄で、私の手は止まった。
「ん……? この名前……?」
慌ててPCをつけ、データベースを立ち上げた。
検索フォームに迷わず文字を打ち込む。
『赤塚銀行強盗未遂事件』
すぐに出てきた資料を開き、前に一度見た被害者女性の名前を確認した。
「やっぱり……」
手元の資料とPCの画面を交互に見る。
道理で見覚えがあるはずだ。
この被害者女性の名前は、洋館殺人事件の資料で見ていたんだ……。
それは、カラ松さんの母親の名前だった。
私が小学1年生の時に巻き込まれた銀行強盗。
そこで亡くなった女性は、カラ松さんの母親だった。
これは偶然?
あの銀行強盗があった日、もしかして、カラ松さんも母親と一緒に銀行に来ていたとしたら?
私たちはもしかしてそこで出会っていたの?