《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第12章 事件、ふたたび
自分で考えたと思っていたはずの推理。
でも、実はおそ松さんの行動に誘導されていた……?
じゃあ、おそ松さんは私にあの推理をさせるためにわざと無茶苦茶な捜査を……?
黙り込んだ私の肩を、トド松先輩がポンポンと叩いた。
「大丈夫だよ。ゆりちゃん。だって、実際に凶器の鉈と金槌はチョロ松警部のロッカーから出てきたでしょ? それにチョロ松警部のIDカードの記録もあった。警部の首に傷もあったし。チョロ松警部が犯人なのは間違いないよ」
「でも……」
もう分からない。
自分で考えたと思っていたことが、実は他の人に仕組まれた考えだったら?
じゃあ、今考えていることは?
今の私は自分でちゃんと考えているの?
それとも誰かに誘導されてるの?
どこからどこまでが私が自分で考えたこと?
それとも、私が考えたことなんて何もないの?
足元がグラグラする感覚。
今まで当然のように信じてきたものが一気に崩れ去る不安。
怖い……。
「先輩、私、どうしたら……」
私はトド松先輩の腕に縋った。
「大丈夫だよ、ゆりちゃん。大丈夫……」
トド松先輩が優しく私の頭を撫でる。
十四松さんも心配そうに眉を下げて私を見る。
私はまるで迷子にでもなった小さい子供のように、震えながらトド松先輩の腕にしがみつき続けた。