《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第10章 銀行強盗
チョロ松警部の逮捕劇から一夜が明けた。
向かいのデスクで事件処理の書類を書いていたトド松先輩が、大きな溜息をつくとペンを投げ出した。
「あ〜あ……」
私も手を止める。
「トド松先輩、何か飲みますか?」
「いや、いいよ、ありがと。欲しかったら自分で入れるから。気にしないで」
「はい……」
作業に戻ろうとすると、トド松先輩が呟くのが聞こえてきた。
「もう、警察辞めて地元に帰ろうかな……」
見ると、先輩は虚ろな目で遠くを見つめていた。
「チョロ松警部ってさ、本当にどうしようもない人だったけどさ、僕、結構好きだったんだよねぇ……」
先輩の視線の先にはチョロ松警部のデスク。
綺麗に片付けられ、今はガランとしている。
「先輩、チョロ松警部と組んで長かったですよね。いつも仲良さそうでしたし」
「まあね……」
トド松先輩がぼんやりとした表情で答える。
「…………」
「チョロ松警部が捕まったの見たらさ、なんか虚しくなっちゃって。なんでこの仕事やってるんだろって思って……」
「先輩……」
「ねぇ、ゆりちゃんも一緒に来る?」
「え?」
驚いてトド松先輩を見る。