双子の悪戯 Fred and George Weasly
第2章 ~2ヶ月前~追憶
Side Fred
いつからこの感情が恋と気づいたのかはもう覚えていない。
気づけばもうずっと、フレッドはジョージに恋をしていた。
ジョージの自分にそっくりな瞳、自分にそっくりな鼻、自分にそっくりな唇…。だけど何かが決定的に違う。
触れたくて、触れることができる距離にいて、でも触れることはできない。
1番近くて、1番恋してはいけない人。
気付かれないように、壊さないように、フレッドはそう決めていた。
しかし、三年生になったばかりの時、その決心が揺らぐ出来事が起きた。
その日は晴れた土曜日だった。
未だ決まらないシーカーを除いたメンバーでキャプテンのウッドの下でクィディッチの練習があった。
学期が始まったばかりで暇なのだろう。
練習を見物している生徒がちらほらスタンドに見受けられた。
ウッドはいつものように
「スパイかもしれない。グリフィンドールの新メンバーの様子を見に来たんだ」
と、半分怒ったように生徒たちを追い出そうとした。
「心配し過ぎよ、ウッド。まだシーカーもいないじゃない」とアリシアが言う。
「そうよ、それに下手に注意して対スリザリンの初戦でハッフルパフとレイブンクローを敵に回したくないでしょ?」とケイティ。
いつもグリフィンドール対スリザリンの試合の前は寮の間に緊張が走り、嫌がらせが横行するのだ。
「それもそうだな」
ボールを取りにいっているアンジェリーナを除くチームの女性陣の反対でウッドが渋々ゴールポストに戻る。
アンジェリーナが帰って来て、ブラッジャーを放ち、練習開始だ。
「説明した動きの通りやるんだぞ!」
フレッドどジョージはチームでビーターをしている。
ビーターはチームに2人いて、それはフレッドとジョージがクィディッチで寮代表のビーターを目指すことにした理由でもある。
フレッドとジョージは2年生のとき寮代表に志願し、小柄で不利な中、ずば抜けたチームワークでその座を獲得したのだ。
1つ目のブラッジャーからケイティを守り、それと同時にジョージが2つ目のブラッジャーを打ち返しているのを目の端で見た。
今は打ち返すべき的である相手チームのメンバーはいないが、もしこれが試合だったらなかなかいい一撃だったはずだ。
そのとき、下で見ている女子生徒の集団が黄色い歓声をあげた。