第5章 颯太の本性
樹輝side
「ヒカル!!」
「イツキ!!」
走ってヒカルの元に行くと、ヒカルが涙目で抱き着いて来た。
「何で来てんだよ……」
「だって……イツキが居なかったから……」
「朝言っただろ?学校だって。」
やっぱり聞こえてなかったか。
先生に見つかるとめんどくせぇし、どこか場所捜さねぇと……
「樹輝、俺が見てようか?」
「あ……将樹……」
「授業もあと2時間だし、その間だったら構わねぇよ。」
「けど、お前も……」
「午前も1時間しか受けてねぇから午後もサボる。」
「わかった。ヒカル、大丈夫か?昼飯は?」
「……食べた。マサキと一緒?」
「うん。俺もすぐ帰ってくるから。」
「ウン。」
将樹とヒカルは空き教室がある所にいると言った。
確かにあそこなら誰もこねぇし、外にいるよりはマシか。
「にしても何でこの場所が分かったんだ?」
「……分かんないけど……なんかここに来てた。ここにいる気がした。」
いる場所が分かったってことか?
そうだ、俺たちは異体同心の関係。
ありえないことはない。
「そっか……将樹に迷惑かけるなよ?」
ヒカルの頭を撫でる。
そんな姿を見て将樹が驚く。
「?なんだ?」
「いや、お前、そんな顔するんだなって思って。」
あ……まただ。
気がついたら笑顔になっていた。
やっぱり……ヒカルに会ってたから変だ。
将樹はヒカルを連れて学校の中に入っていった。
俺もそろそろ戻らねぇと授業が始まるな。