第5章 颯太の本性
樹輝side
やべぇ……ヒカルに今日学校だって言ってなかった……
コイツどうするかな……
隣で寝ているヒカルは気持ちよさそうだ。
昼飯作って置いとくか。
「ヒカル。まだ寝てるか?」
「う……ん?イツキ?早いね……」
まだ少し寝ぼけている。
「俺、今日学校行くから。昼飯はテーブルの上に置いておく。すぐ帰ってくるから待ってろ。」
「……ウン……」
ほんとに分かったのか?
またすぐに眠りにつく。
とりあえず準備しねぇとな。
遅刻しちまう。
バタバタと準備をしていると、あっという間にギリギリの時間になった。
「行ってきます。」
ヒカルの「行ってらっしゃい」という声が無くて少し寂しかった。
学校まで走る。
昨日より暑い気がする。
蝉の鳴き声が耳に痛いほど響く。
きっつ……
「急げ!あと30秒!!」
校門に立つ体育教師が遠くから大声で叫ぶ。
俺以外にも何人か後から走ってきていた。
「10!9!8!」
7秒でギリギリ間に合った。
息切れが激しい。
喉は血の味がする。
「いっくーん!」
教室の窓から颯太が手を振る。
あんな笑顔で言われるとムカつく。
こんなにキツい思いしてんのにニヤニヤしやがって。
俺は颯太を無視し、教室に向かった。
廊下を歩いていると将樹に会った。
「おはよ。」
「あ……あぁ。おはよ。……どこ行くんだ?」
「屋上。」
今日もサボりか。
なんか不思議な感じだ。
将樹と挨拶交わすことなんて今までなかった。
……そう言えば颯太には気をつけろって言ってたな。