第3章 将樹
樹輝side
公園の前を散歩していた。
あんなに外に行きたがってたわりにはずっと手を握ってる。
昨日買ってあげたキャップを被っている。
「ここ何?」
「公園。色々遊べる遊具がたくさんあるんだ。」
「行ってもいい?」
「おぉ。」
ヒカルが手を離して中に入っていく。
「おい、ちょっと待て。」
「ぶっ!!」
ヒカルが誰かとぶつかった。
「いてて……」
「……ちゃんと前向いて歩け。」
この声……
「将樹!!」
「?……古賀樹輝……」
ヒカルが慌ててこっちに走ってきて、俺の後ろに隠れる。
「おい……そいつ……」
「俺のいとこ。」
「……嘘つくな。」
こいつ……なんなんだ?
なんで嘘だって。
「ちょっと話せるか?」
「……」
「別に何もしねぇよ。あと、そいつ……能力者だろ。」
「「っ!!」」
将樹は知っていた。
けど……どこでそれを?
……何か知ってるかもしれない。
ヒカルのことについてもまだ謎だらけだ。
「……わかった。」
「っ!イツキ!」
「大丈夫……」
俺はヒカルの手をしっかり握りしめた。
それに応えるようにヒカルは両手で俺の手を握り返した。