第15章 ズレた思い
ヒカルside
「う……いつきっ!……っ!」
隠れ家で眠っていたぼくは嫌な予感がして目が覚めた。
「ん、なに?」
隣で寝ていたそうたを起こしてしまった。
「そうた……いつきが……遠くに行っちゃう……どうしよ……」
涙が止まらない……
何度か泣いたけど、こんなに苦しいのは初めて……
いつき……何があったの?
何されてるの?
「ヒカル……不安なのは分かるけど、焦っても駄目だから。落ち着けって。」
「だめ!今すぐ行かないと!」
ぼくがいつきの所に急いで向かおうと立ち上がった。
「ヒカル!待てって!」
そうたに掴まれた右手を振り解こうと腕を振る。
けどなかなか取れない。
「どうしたんだ?」
まさきがぼく達の所に来て間に入った。
「いつきが!何処か行っちゃう!」
「?どういう事だ?」
「ぼくにもわかんない……でも今までに感じた事ない感情なんだ……」
まさきが優しく肩に手を置き、ぼくの涙を拭った。
「わかった……今すぐ出よう。樹輝の事が分かるのはお前だけだ。お前がそこまで言うなら何かあったんだろ。」
「うん……ありがとう。」
「でも、まずは泣くな。泣き止むまで行かせねぇからな。戦いになる。そんなんじゃ戦えねぇぞ。」
ぼくは急いで涙を拭いとり、出る準備をした。
皆もまさきの指示で動き始めた。
いつき、すぐ助けるから……もう少し待ってて。
ぼくが行くから。