第14章 愛する者の為
樹輝side
何とか誕生日パーティーも終わり、翌朝に颯太、海堂、ヒカルもついでに車で家まで送ってもらった。
「まさか、あれほどまでの坊ちゃんだとは……いつ誘拐されてもおかしくないんじゃ……」
「ぼ、ぼくが守るから大丈夫だよ!いつき!」
「はいはい、ありがとな。」
「本当にラブラブだね、いっくん達……」
「そういうお前らもな。」
颯太と海堂が顔を赤くさせ「えっ?」と口を揃える。
「……丸聞こえだったからな、気をつけろよ。」
昨夜、ヒカルと一緒にベッドに横になっていたら、颯太達の部屋から声が聞こえた。
こんな夜に何かあったのかと心配になっていたら、その声はうめき声とか泣き声とかそんなものじゃなくて、喘ぎ声だった。
まだ俺たちしか居なかったから良かった。
颯太が顔を両手で覆い隠す。
海堂は外を眺めながらも顔は真っ赤だった。
ホテルじゃねぇんだ、家は。
他所でやれよ。
ヒカルは気になってよく眠れなかったみたいだし。
車が動き出して、1時間程経った。
「樹輝様、着きました。」
「あぁ、ありがとう。」
ドアを開けてくれた召使いに礼を言って車から離れる。
「ふぅ……帰ってきたぁ!じゃあ、いっくん。俺らこっちだから。ばいばーい。」
「樹輝先輩。ありがとうございました。それから、過ぎましたが誕生日おめでとうございます。」
「おう。俺の方こそありがとう。ヒカルが世話になった。」
「はい。では、これで。」
「気をつけろよ。」