第2章 初めての外の世界
樹輝side
ヒカルは美味しそうにハンバーグを食べ終えた。
喜んで貰えたみたいだな。
それより……ヒカルの前髪長いな……
「?どうしたの?イツキ……」
「あ、いや……お前髪切ればいいのにな。」
「……でも、目が見えちゃう。」
「……俺は見たい。」
すると、ヒカルの顔が赤くなる。
何故か俺の鼓動まで速まる。
なんだこれ……
「どうせキャップで隠れるぞ?」
「でも……」
「……いや、別にいいんだけどな。お前のことだから好きにしていい。」
ヒカルは右手で長い前髪を弄る。
「ただ……俺は短い方が……いい……けど……な……////」
自分で何言ってんだよ!
恥ずかしいこと言ってしまった。
「……うーん……」
「ほ、ほら!行くぞ!」
「え……ちょっ!」
俺はヒカルの腕を引いて店を出ることにした。
「……俺、今日この後バイトなんだ。1人で大丈夫か?」
「バイト?……1人って……イツキ居なくなるの?」
「あぁ。けど、19時には帰ってくるよ。」
「……ウン……大丈夫。」
寂しそうな顔……
今日は……急いで帰ってくるか。
俺はヒカルを家まで送った。
「いいか?絶対にここ開けるなよ?誰が来ても出るな。」
「大丈夫。」
ヒカルはテレビの前で玄関に立つ俺の方を向き正座で座っいる。
少し心配だが。
働かねぇと……
「行ってくる。」
「あ……えーと……」
「……行ってらっしゃいだよ(笑)」
「あ、そう!それ!いってらっしゃい。」
さっき外にいる時にその言葉を交わしている家族を見てこの言葉を覚えたようだ。
少しずつでも慣れてくれたらいいが……
俺は鍵をしっかり閉めて家を出た。