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そして今日も生きていく【R18】

第13章 将来


樹輝side

「樹輝様!待っておりました!本日はおめでとうございます!」

「うん。久しぶりだな。」

幼い頃、俺の世話をしてくれた召使いだ。
自分で出来るからとよく逃げてた記憶がある。
あまりそういうのが好きじゃなかった。

「樹輝様、スーツ似合っておりますよ!」

「ありがと。……母さんと父さんは?」

「中におられますよ。樹輝様が帰ってこられるのを楽しみにしておられました。」

「そう。挨拶してくる。……あとさ、その話し方止めて。俺、そういうの嫌いだって前に言ったよね?」

「え、ですが!」

「いいから。じゃないと、もう口聞かないから。」

俺は手をヒラヒラと振りながら中に入っていく。
まだお客さんは来てないみたいだな。

「そ、それは困ります!樹輝様!」

遠くなるその声を無視して両親の元へ向かう。

「樹輝!ちゃんと来てくれたのね!」

「……まぁ、流石に。」

母さんが力強く抱きしめてくる。

「少し見ないうちに大きくなったな。」

「そんなに変わってないと思いますけど……」

父さんが近づいて来る。
母さんも父さんも綺麗な服を着ている。
家の中も凄い数のテーブルと料理が。

「ところで、進学先は決まったの?担任の先生から電話があったわよ?」

「いえ、進学先は決めてませんが将来は家を継ごうと。俺をここまで育ててくれた恩返しになるかなと思いまして。」

「ほんとか!それは良かった!」

父さんが嬉しそうに微笑む。

「父さん、母さん。俺ももうすぐ卒業です。1人だった俺を見つけ、ここまで育ててくれてありがとうございます。」

「樹輝ぃ……立派に育ったわねぇ。」

「ほんとに。」

2人は涙を流しながら抱き合う。
いつまでも変わらない2人だな。

その後、続々と招待されていた客が入ってきた。
かなりの人数だ。
父さんの仕事場の人達だろう。
俺を見つける度に祝の言葉を述べてくる。

「樹輝君!」

「華奈……お前も呼ばれたのか?」

「当たり前でしょ?許嫁だもの!」

そうだ……親が勝手に決めたんだ。

「まぁ!華奈ちゃん!綺麗ねぇ。」

「お義母様!お呼びいただきありがとうございます!」

「いいのよ。」

この場から逃げたい。

「樹輝!来なさい!挨拶の準備だ。」

父さんから呼び出される。
何とか逃げれたけど挨拶か……めんどくさい。
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