第75章 HIDE AND SEEK(影山飛雄)
昨日までが
まるで幻だったかの様に
余所余所しい
布施の反応に
神経が苛立って来る
「おい、俺が何かしたか?」
それが表に出ないように
なるべく冷静に
声を掛けてみるけど
『…なにも、してないよ
戻ろう?
迷惑掛かっちゃう』
布施の態度は変わらない
なにもしてないのに
なんで?
そんな疑問だけを残して
布施は俺の腕から逃れ
走り去って行った
仕方なく一人戻った体育館では
いつもの光景が広がっていた
いつも通りじゃないのは
俺と布施だけ
それを誰も不思議に思わない
俺だけ別の世界に来たみたいな
違和感を引き摺ったまま
日は暮れた
「コラ、お前たち
そろそろ終いにしなさいよ」
澤村さんの声に
渋々片付けを始め
「じゃあ、また明日な
布施は…影山に…」
いつもの流れ。
"いつも、ごめんね"
当たり前に聞こえて来てた
この言葉も
今日は聞こえる気がしない