第74章 キミのトナリ オレのトナリ（及川徹）

やっぱり俺以外の男に
告られたりドキドキさせられたりするのは
気分が良いものじゃあないよね

『そりゃ…私は徹みたいに
告白されたりとか慣れてないもん！
ドキドキっていうより
ビックリしたって言うか…その…』

真っ赤な顔は
自分が聞いたことを棚に上げて
かなりムッとする

ヤバいな…

『徹…何か良からぬこと
考えてない？』

優しく抱くって言ったばっかりなのに

「さぁ？どうだろうね」

ドキドキさせられた
心を身体をめちゃくちゃに
壊したくて堪らなくなって来ちゃったよ

「姫凪、おいで」

なるべく穏やかに
声を掛けたけど
声の感じとか纏うオーラが
さっきと同じくらい
黒かったのか
姫凪の目が
不安げに揺れた

わかってる
優しくしないと
もうあんな怖い想いさせるわけには
いかないんだから…

「姫凪…来いよ」

でも…

『は、はい…』

この小動物みたいな
か弱い感じとか
壊れそうな表情とか

「怖い？俺の事」

堪んないよね、可愛くて。