第61章 クロ猫と傘と恋(黒尾鉄朗)企画転載 完結
「…と、まぁ。
色々あったわけデス」
ピロートークにしては少しヘビーな
俺の生い立ちを姫凪は
小さく頷きながら全部聞いてくれた
それに対して何を言うでなく
俺を抱き締めたまま
『一緒に歳をとろう』
小さく、でも強く俺の耳に声を落とす
「…ハハッ、それイイね…
最高の誕プレかも…」
涙声で笑う俺に
『誕生日、毎年祝うよ!ホント!絶対…
約束…する』
涙声で叫び
『誕生日…いつ?』
俺をまた優しく抱き締める
「一週間後」
そう応えた俺に目を丸め
”パーティーしよう”なんて
笑う姫凪に
「家来る?
ムサイ親父も来週には
帰ってくるし
無気力な幼馴染も
暑苦しい仲間も…多分来る。」
ゴロゴロと擦り寄り
細い身体を抱き返し
「…俺の特別な日に
特別な人だ、って紹介したいんですぅ!」
涙声のまま笑みを返す俺を見て
『もちろん!嬉しい!』
同じ様な顔して笑う姫凪に
”その後は夜更し覚悟して下さい”と
甘い声で囁いて
”何考えたんですかァ?”なんて
からかって
二人の未来を雨音を枕に語り合った