第60章 お祭り騒ぎがくれたもの(北信介)企画転載 完結
「え?侑もっと絡まれろよ…
写メ撮りわすれた…」
「角名、空気読めや。
北さんは二人きりになりたい
言うてはんねんで」
「治!お前ホンマ黙っとれ!
スンマセン!ごゆっくり!」
治と角名の首根っこを掴んで
去って行く侑に目を丸めて
「慌てんでもええのにな?」
四人を隣で見送る姫凪に
声を掛けた
『せやね…
信介はこんな事で怒ったりせんのにねぇ
ほな、行こか!
花火の場所早く取らな!』
俺に笑いかけ
手を引く姫凪
アイツら相手に
そない簡単に怒ったりせん
確かにそやけど
「せやな。
腹は?減ってへんのか?
なんか買うてから行くか?」
『…あ、うん。
せやねぇ…エエね。』
モヤモヤせえへんとは
言うてへんし
「なんや?遅れたん怒っとる?
笑顔足りんやん」
さっきまでの笑顔が消えてるのを
気にならへんなんか
言うてへんで?
『…別に…ただ…』
「ただ?」
『…なんもない!
行こう!花火一緒に見たいねん!』
ニコリと笑う姫凪の顔は可愛い
可愛いけど…
「待ち。
言いたい事あるなら言えや」
それちゃう
俺が見たいんは
いつもの笑顔
モヤなんかぶっ飛ばす
俺の一番好きな顔や。