第60章 お祭り騒ぎがくれたもの(北信介)企画転載 完結
『信介、相変わらず早いなぁ
彼女の顔立てて
もうちょい寝坊しぃや』
朝飯の支度をする俺に
パジャマ姿の女が声を掛けてくる
朝、パジャマ、女
ここまで言うたら分かるやろ?
「クセやから
しゃあない。
それに姫凪には
昨日無理させたしな」
俺のカノジョ
布施 姫凪や。
無理の内容は…まぁ、おいおい。
『…アホっ!
変な事言わへんの!
顔洗ってくる!
お茶は私が淹れるから
手出しなや!』
「分かっとるよ
姫凪の入れる茶が
一番美味いからな」
真っ赤な顔を見送り
熱くなり過ぎそうな
味噌汁の火を止め
テーブルに腰掛けて
思い出し笑いをひとつ
思い出したのは昨日の夜
いや、それより少し前から…やな。