第57章 ♡背中合わせの恋は今(瀬見英太)生誕記念 完結
「瀬見、今日、残業してくれないか?
ついでに次の日曜、出勤してくれると
ありがたいんだが…
今進めてる企画をどうしても年内に
形にしたいんだ」
今日、じゃなくて
今日も、だし
次の日曜、じゃなくて
そっちも”も”だし
とか、言えない
「はい、大丈夫スよ。
そのかわり今夜一杯奢ってくださいよ」
悲しきサラリーマン瀬見英太とは
俺の事。
「おぉ、任せとけ!
可愛いお姉ちゃんのいる店に
連れて行ってやるよ!
この前、知り合いの部長さんに
連れて行って貰ってな~
凄いレベル高い店で…」
「え?いや…俺は普通に
腹に溜まるモンを…」
「いいから、いいから!
瀬見男前なのにオンナも居ねぇって
噂だぞ!
たまには可愛い子とはしゃいで
休日出勤を頑張ってくれ!」
ガハハと笑って去っていく
ヨレヨレのスーツの上司を
遠い目で見送りながら
目の前に積まれた見積書に目を通し
「…噂にまでなる程
彼女居なくて悪かったな!クッソ!
あー!誰だ!この見積もり出したの!
こんなんで企画通るかー!ボケー!」
ガシガシとインク消しをかけながら
数字を直していく
「…キャバ…だよな…どこの?
って…別に付き合いだしよ…
あ~でも…あそこの部長の行きつけって…
いや!そんなハズねぇよな…
俺は持ってる!大丈夫だ!
息抜きだって必要!よしっ!」
…と。
一人で暴走が過ぎた。