第42章 らしくないけどオマエだけ(照島遊児) 完結
「照島が死んでる」
「うっせー…
姫凪に会いてぇなー…」
あの事件以来
薄れるどころか
日に日に増す姫凪への想いに
悶える俺を
ツレは”らしくねぇ”なんて
馬鹿にする。
「他にもオンナいるべ?
ナンパでもしに行くか?
今日部活休みたべ?」
それも、考えた。
いっその事
忘れて遊んでしまえたら、とかな。
でも。
「…いや、止めとくわ。
今日はマネージャーの
買い出し手伝う約束してっし…」
全然無理
どう転んでも楽しめる気しなくて
ひたすらバレーに精出して
部の雑用を自ら引き受けては
気を紛らわす
「あぁ!あの美人の!?
あのマネちゃんでも良くね?!」
「バァカ
俺が手におえるタマじゃねぇよ
それにマネには手出ししねぇの」
なんつって。
そんな気起きねぇんだってよ。
誰を見ても姫凪と比べて
どうしようもなく好きな事を
思い出しちまうから。
日に日に膨らむ気持ちを抱えたまんま
過ごす俺に
「アレ?アイツ…」
こんな再会は酷過ぎんぜ?
俺の誕生日にぶちのめした
憎きアイツは
相変わらず姫凪の隣を陣取って
姫凪は俺に気付いても
ただ小さく声を上げたきり
口ごもるだけ