第28章 ♤伝えなきゃ伝わらない(花巻貴大)生誕記念 完結
それは少し前の事…
「お待たせ。
今日はどこ行く?」
『えっと…どこにしよう…
カフェはこの前も行ったし…』
まだ寒い1月の空の下
デートスポットを検索する指が
かじかんで上手く動かない
「慌てなくても
今日は二人だから…
ほら、貸してみ…お前はコッチ…」
私を後ろからコートに誘い込み
肩に頭を置いて私の手を
温めながらケータイの画面を
長指で擦る
貴大は優しい。
さり気なく私を気遣ってくれる
私も、と思うのに
「…近かったか?
顔赤いぞ
チョイ我慢な?
えっと…あ、ここどう?
このシュークリーム…うまそ
あ、腹減ってねぇなら
こっちの雑貨屋でも…」
貴大は私ばかり気にして
自分の事を抑えがち…
『ううん!お腹空いてる!
貴大の好きな所行きたい!』
「…な、ならココにすっか!
はい、密着解除。」
離れなくても、と
ふつりと不満が湧くけど
「手は繋ごうな!離したくないから!」
この笑顔にそれはスグ融かされる
なのに消えないモヤモヤ