第4章 ♡良薬甘し(岩泉一)※お見舞いシリーズ※ 完結
すんげぇ抱きてぇけど
「泣くなや…。
泣くの反則だべや…
チャント帰るから」
風邪引いてる上に
泣かれちゃな?
退くしかねぇよな
今回も門前払いだけど
一個言っときたくなって
「あ、良い忘れた
お前が死んだら俺も死ぬかンな?
死ぬ程心配すんのは
オマエだけじゃねぇぞ?
早く良くなれボケ」
電話口に
柄にもない甘い声で
囁いて電話を切った
「じゃあなー!
チャント布団被れよー!」
玄関のドア越しに怒鳴って
背を向けると
『はじめ!待って!』
慌ただしい足音の後
バタンとドアが開いた
そこにはパジャマ姿の姫凪