第1章 4月
4分、8分、三連符、4連符
そして、アップにダウン、ロールに鬼打ち。これがいつもの基礎練メニュー。
「ふぅ」
私は基礎練を一通り終えるとスティックをそっと置いた。
誰もいない音楽室を見るとなんだか寂しくなる。
けれど、五分もたてば人は沢山来るのだろう。
二年前に部長さんが私に、ううん一年生全体に呼びかけたことを私が言うなんて...
「皆さん、こんにちは!吹奏楽部です!」とひとりで呟いてみる。
あぁ、あなたが卒業してしまったんだなと考えると涙が出てきた。あなたがいつもいたシンバルのところに目をやるとあなたが笑いかけてくれてるような気がしてもっと辛くなった。会いたいな。崇一郎先輩。