第7章 ☆Story5☆ 溢れる恋心
タイスケside
『決められる筋合い、ねぇんだよ……』
さっき、ゆりちゃんのお父さんに対して反抗的な態度を取ってしまった……。
これでまた、距離が遠くなった……でも、
「……あ、このぬいぐるみ可愛い……」
『僕という可愛いぬいぐるみがいるのに浮気!?
こんなどこがいいのさ!』
「よーし、んじゃ俺が買ってあげる♪」
でも、ゆりちゃんは俺について来てくれた……。
『……ゆりも、今日は疲れただろ。
早く、寮に戻るんだ。』
『っでも……!』
『いいから、山田くんに連絡してでも帰れ。』
お父さんに、反対されたのに……
俺について来てくれた……ただそれだけなのに、
嬉しい……ちょっとだけ、お父さんに勝てたような気がして……
でも、俺はこのままじゃ……あの人に認めてもらうことはできない……。
少なくとも、俺とゆりちゃんが結ばれるまでは……
「……それじゃ、お願いします。」
「お!最初より随分素直(笑)」
まだ、あいつに気があるかもしれないけど……俺は、
諦めないつもりだから……だって、
ゆりちゃんは、俺を拒絶してないし……
確かに、クレープ屋さんで「俺の彼女です」なんて言ったのは、気が早すぎた。
でも、俺の気持ちに気付いたおかげで、俺のことも……
少しは意識してくれるかな……?
ちょっとした、彼氏候補の一人として……。
幸い、アイツは彼女をどうも思ってないっぽいし……
じっくりと距離を縮めていくか……。
今は、ただのうるさいお兄さん止まりでも……しょうがないよな……
いつか必ず、俺の方に振り向かせてやるから……
俺だけしか、
見えなくしてやるから……