第7章 ☆Story5☆ 溢れる恋心
「っ……三船さん……」
「っ……!
ゆりちゃん、今なんて……三船って……」
「っ……!」
『ゆりさんふぉうしたの?』
(急に顔俯かせてどうしたんだろ……モグモグ)
思わず顔を俯かせるゆり。
「っゆり、ちゃん……?」
「っ……///」
少し見ただけなのに、変にドキドキする……
『ゆりちゃん顔真っ赤だよ。』
「っ気のせいよ!」
「っ……」
タイスケside
「三船さん……」
「っ……!」
確かに彼女の口から出た“三船”という言葉……
カウンターに目を向けていた俺は三船と思われる奴を探した。
多分……
「うっおぉぉ!マジうまそ!」
あのはしゃいでいる黒髪の奴じゃなくて……
「テンション高……おめぇは女子か。」
アイツだと思う……。茶髪にした、澄ましている奴……
アイツがきっと、三船って奴だ……。
『ゆりちゃん顔真っ赤だよ。』
「っ気のせいよ!」
「っ……」
まるっきり、彼女の表情は……恋する女の子、今まで俺に向けていた顔と、
全く違う表情……。
俺にはそんな顔、見せなかったくせに……
『あ!あの人がゆりちゃんの気になっている三船憲吾って人なんだね。』
「っユウ、余計なこと言わないで……!」
『でも、前に助けてくれたんでしょ?』
「それとこれは関係ないから……ただ、助けてもらっただけだから……」
『でもドキドキしちゃってるんでしょ〜?』
っこのぬいぐるみ、余計なことばかり言いやがって……
余計イライラしてくんじゃん。
助けたって何?アイツは正義のヒーローなわけ?
「っ1回会っただけなのに!そんなこと……!」
俺より、ずっと少ないんだ……だったら、知り合いでもなんでもないんだ……なら、
なんでゆりちゃんはアイツのことを……
俺のほうがずっと、
ゆりちゃんを知っているはずなのに……