第19章 ☆Story17☆ 二人きりの夏祭りデート
「俺が俺でなくなるような気がするんだ……」
「っ……」
「っだから……すまない……」
そう言うと憲吾はゆりから離れベンチから立ち上がった。
「っ三船さん……」
「心の整理をしたいんだ……」
そして憲吾は来た道を歩き出した。
『っ……
っゆりちゃん、何か三船くんに伝えなきゃ……!』
「っ……三船さん!!」
「……。」
ゆりはベンチから立ち上がり健吾を引き止めた。
「っ……8月15日のコンサート、来てくれるんですよね……」
「……あぁ、そのつもりだ。」
「私……その日のコンサートで新しいソロ曲を歌うんです。
新しいって言っても、カバー曲なんですけど……」
「……。」
「私……その曲を、あなたに聞いてもらいたいんです……」
『っ……』
(ゆりちゃん……)
「……わかった、」
憲吾は返事だけをすると、再び歩き出しゆりの前から姿を消した。
「……。」
ゆりは呆然と立ち尽くし……
『っゆりちゃん……』
「……。」
そしてゆっくりとベンチに座った。
「私……告白、されたんだよね……」
『うん……そうだよ?
三船くんも、ゆりちゃんのことを好k‥「っでも……」
ゆりは次第に涙に目を浮かべた。
『っゆりちゃん……』
「すごく胸が苦しいの……!
なんでだろ……告白されて、両思いだって喜ぶはずなのに……すごく、苦しいの……」
『……それは、』
「ぇ……」
『それは、ゆりちゃんが本気で恋をしてるって証拠なんじゃないかな?』
「っ……本気で……?」
『ゆりちゃんは、まだ三船くんに好きって言う気持ちを伝えてないでしょ?
だから尚更……胸がモヤモヤして苦しくなってるんじゃないかな?
それに、三船くんも今日ゆりちゃんが好きだってことに気づいて同じ気持ちだと思うよ……』
「ユウ……」
『大丈夫……コンサートで、ゆりちゃんの気持ちを思いっきり三船くんにぶつけなよ。
そうすれば、三船くんの心にもちゃんと……伝わるから……』
「っ……ユウ……」_ギュッ