第19章 ☆Story17☆ 二人きりの夏祭りデート
とりあえずベンチに座る2人、先ほどの出来事が気まずいのか、会話が思うように弾まなかった。
「ほら……」
「ありがとうございます、できたてで凄く美味しそうですっ」
「そうだな……」
「「……。」」
『……。』
(うぅ……今度はめっちゃ気まずい雰囲気!
てか君達が気まずい雰囲気にならなくてもよくない!?)
「……っそのぬいぐるみ、昨日も持ってきていたが……大事な、ものなのか?」
「っはい……これも、ママの形見みたいなもので……元々はママのものだったんです。
パパも、色違いのぬいぐるみを持っているんです。」
「そういえば、昨日も見かけたような気がするな……それも母親のか?」
「はい……この子はユウっていう名前で、私にとって凄く大切な存在です……」
『ぅ……ぅぅ……』
(うぅ……凄く大切な存在って初めて聞いたよ!!涙)
「そうなのか……っ今……」
「どうかしました?」
「っいや……今そのぬいぐるみから声が聞こえたような気がしたんだが……」
「『っ!?』」
「さすがに、気のせいか……」
「っ気のせいですよ!汗
ぬいぐるみが喋るわけないじゃないですか!(苦笑)」
「っそうだよな……急におかしなことを言ってすまない……。」
「っいえ!」
(ユウ……!気をつけなきゃダメじゃない!!)
『……汗』
(危ない危ない……藤ヶ谷くんに続き三船くんにまでバレるわけにはいかないんだよなぁ……
神様にも前叱られたし……)
「……でも、不思議だな。」
「ぇ……」
「そのぬいぐるみをずっと見ていると、まるで生命イノチが宿ってるように見えてくる……
自分でも、おかしなことを言ってるな。」
「っそんなこと……!
でも、本当にそう見えること……私はしょっちゅうですよ?
寮の部屋には、基本私ひとりだけだから……喋って私の話し相手になってくれたらなって、
何度思ったことか……」
「そうか……それほど大事に思ってるから、そう見えるのかもな……」
「そうかもです(微笑)
それと、さっきはありがとうございます。」
「いや……あれくらい……最初の変な奴に比べたら全然……」
「……。」
(本当に、嬉しかったなぁ……こうして何度も助けてもらって……)