第12章 ☆Story10☆ 縮まっていく距離
「あとは、自分ちで見ろ(笑)」
「はぁ……もう寝たい……明日は朝練したいし……」
「んじゃ俺も付き合うわ!あ、シャワーくらい浴びてこいよ!
お前先でいいから!」
「お前が先に入ってこいよ。」
「いやいや!ここは普通お客様優先だからw
俺はコップとか片付けてくるからよ。」
「……わかった。」
憲吾は吾郎の言葉に甘え先にシャワーを浴びることにした。
_ザァァ…
『っ三船さんがんばってください!!負けちゃダメです!!
勝ってくださいっ!!!!』
『立って決めてください!!!
ここで負けちゃ……ダメですっ!!!!!』
「……。」
シャワーを浴びる間、憲吾はゆりが自身かけた言葉を思い出していた。
『14年前に、私を産んだ5日後に……亡くなったんです……』
「母親が、死んだ……か……」
あの時の、悲しげな表情……はっきりと今でも目に焼き付いている……。
母親がいない中で、笑顔を絶やさずに仕事をこなしている彼女は……素直にすごいと思った。
俺より、4つも下なのに……
シャワーを浴び終え、憲吾は部屋に戻った。
「よぉおかえり!
んじゃ俺もパパッと浴びてくるかー」
吾郎もシャワーを浴びに1階に降りた。一人になった憲吾はスマホを取り出し……
「……あいつのプロフィールくらい、見ておくか……」
憲吾はネットで「藤ヶ谷ゆり」と検索。
すると1番上にはプロフィールが載っていた。
『2016年7月2日生まれ AB型 蟹座』
「7月生まれ……ついこないだか……ん?」
『藤ヶ谷ゆり』と検索したのと同時に、検索候補のひとつとして、
『藤ヶ谷ゆり 母親』という候補に目がいった。
他にも彼氏や性格など出てきたが、憲吾は『母親』という言葉に目を惹かれた。
『亡くなったんです……。』
ゆりの言葉がリフレインされ、憲吾はキーワード候補である
『藤ヶ谷ゆり 母親』をクリックし再び検索をした。
検索をしてみると……
「『藤ヶ谷ゆりの母親は……玉森、百合』……。」
玉森……