第11章 ☆Story9☆ 試合観戦
「三船さん……」
『でも、彼は覇気を使う気はないだろうね……』
「っ……なんで……」
『何でって……これは、正当なスポーツだよ?
あんな覇気なんて、純粋にスポーツをしてる人から見たらただの反則技だよ。
そんな反則技を、彼が使うとは思えないよ……』
「っ三船さん……」
(でもあのままじゃ、三船さん大怪我しちゃうよ……)
その後の攻防戦は、圧倒的に三船さんが劣勢……このセットは、
負けちゃうかもしれない……でも、
三船さんは絶対に……!
祈るゆりだが、その願いとは裏腹に第2セットは聡の圧倒的強さで負けてしまった。
これで1対1、次のセットを取った者が次のトーナメント戦に進める……。
「っ三船さん……お願い……勝って……勝ってよ……」
憲吾side
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「っおい憲吾、大丈夫か……」
「っあぁ……平気だ……。」
「っおい、このままじゃお前が劣勢で負けるぞ……
ここで負けたら、オリンピックなんて……この大会で優勝して、
オリンピックへの切符掴みたいんだろ?」
「……けど、俺は覇気に頼らないで……勝ちたいんだ……」
「っ憲吾……」
「……あいつの動きやパターンも見えてきた……弱点だって、あるはずだ。」
「っ……」
「……んじゃ、行ってくる。」
「っあ、あぁ……」
泣いても笑っても、ここで勝負が決まる……
ここで負けて、予選敗退になるか……それともここで勝って勝ち進むか……
全てが決まる……でも、
「俺はこの拳だけで……勝利を掴む……」
「憲吾……」
「大分疲れ切ってるみたいだね……そのままで俺に勝てっと思ってんの?
……まっ、いっか……アンタにはアンタのこだわりがあるんだろうし……
俺は俺のこだわりで、勝負を決めてやるよ。」
「……。」
「っ……憲吾ぉぉぉ!!
お前のパンチで勝利を掴めっ!!」
「ふっ……
あぁ……(微笑)」