第10章 ☆Story8☆ アイドルになる道
「っ寮って……!
それじゃ、ゆりたちは……」
_コクッ「これは、タレントたちを守る手立てでもあります。」
「っ手立て……?」
「はい。アイドルというものには、必ずファンというのがつきます。
そのファンには、危険人物もいるという事実もあります。
彼女たちを、守るために寮制度を設けておるのです。」
「っ……」
「学校に関しても、芸能人専門の学校に転校してもらうことになります。」
「っ……
それは、ゆりたちを守るために……」
「はい。」
「っ……」
「っパパ……パパと、離れ離れにならないといけないの……?」
ゆりは太輔の服を引っ張った。
「今すぐにというわけでは、ありません。
基本的レッスンを一通り覚え、ステージやテレビに立つようになったらの話です。」
「っ……今すぐに、というわけではないんですか?」
「はい。
条件付きと言いましても、ある程度知名度のついた者に言い渡される条件です。
ですが、娘さんたちは必ずデビューさせ、頂点に立たせるつもりでいます。
ステージやテレビにだって、当然出していきます。」
「……そうなると、少なからずファンの人ができる……」
「はい。」
「だから、やむおえない処置だと……」
「はい……。」
「そう、ですか……」
「っどのくらい!
来海たちは、どれくらいしたら寮に……」
「まずは、3ヶ月をかけてボイストレーニングに体力づくり、ダンスなどといった
アイドルとしてベースになる体づくりをします。
全員ノルマを達した日から、ステージに立たせ、テレビへも出演させます。
その時期に、寮に入ってもらうことになります。」
「……ノルマを達成した時に……」
「はい。多少の個人差はあるでしょうが……もし大幅に差が出たのであれば、
先に誰かを出すということにもなります。」
「っんじゃ、下手すりゃ1ヶ月ちょいでノルマを達成して、テレビに出る子供らも出てくる可能性が……
てなると、藤ヶ谷先生のところあたり早そー(苦笑)
だってあの子の娘ちゃんだし……」
「……。」
太輔はゆりに目を向けた。
「パパ……」
ゆりは父と離れ離れになるという、複雑な感情に飲まれていた。