第10章 ☆Story8☆ アイドルになる道
「やだ……。
私、アイドルになりたい……」
「……。」
「私、ママみたいにテレビに出たい!
それに……いろんな人を笑顔にしたいの……!」
「ゆり……」
「っだから……お願い、パパ……」
「……。」
「っ私、辛いことがあっても逃げないから!」
「……お前の気持ちは、わかった。
でも、そう簡単に「はいどうぞ」なんて言えない……もう少し、考えさせてくれ……
来海ちゃんや他の子達だって、絶対アイドルになるってわけじゃない。
それに、お前はまだ10歳だぞ?
答えは、急がなくてもいいだろ……」
「っ……」
ゆりは複雑そうに表情を表した。
それから数日後、太輔ら保護者組は緊急保護者会議を開いた。
「ゆりちゃんの方も、かなり乗り気なんですね(苦笑)
うちの来海も、なりたいなりたいって泣き出して……」
「うちんとこの凪咲と来夢も、少なからず興味を持ってるぞ?
絶対なりたいっていうわけじゃねぇみたいだけど……」
「他の子がやるならやりたいって言ってたわ。」
「まなちゃんも、みんながやるならやりたいって……でも、両親はどちらも反対で……
私は本人がやりたいっていうなら、一度芸能事務所に入れてもいいんじゃないかって思います……」
「千鶴に関してはずっとモデル志望だったからな……子供向けファッション誌にもちょいちょい載ってるから、
入れてもいいみたいな話してたぞ。」
「やっぱり、親としては反対する意見が多いですね……
そういえば獅依留くんは最近ジャニーズ事務所に入ったって聞くけど……」
太輔はその場に同席していた陸に目を向けた。
「まぁね。獅依留が、ジャニーズのグループ見てかっこいいって言って……
んで俺が冗談で、履歴書送ってやろうかって言ったら……めちゃ喜んでましたよ(苦笑)
まぁ、ジャニーズJrには獅依留くらいの歳のやつは多いし……それに、全員がデビューできるわけでもない。
デビューが見込めないようだったら辞めるって条件付きで、姉貴たちは承諾したよ。」
「なるほどな……でも、北山先生の話によると……」
「えぇ、シンフォニーの社長が直々6人まとめてスカウト。
入った際には、必ずデビューさせるって言ってましたよ……」