• テキストサイズ

何よりも大切な君に。【黒バス】

第5章 嘘つきは大嫌い【今吉翔一】


維side───────────---





声が届かない。




静寂の中のエレベーターも、


沈黙の中の歩幅も、


全部、夢みたいだ。







『先生・・・っ』


もう、声にもなってない。


涙ばかりが溢れ出して、本当の気持ちを見つけられない。


私は、どうしたいの?

どうすればいいの?




・・・こんなに、好きだなんて。








──────────────---








先生の・・・香り?





・・・先生の香り。








ふわっと香ったかと思えば、苦しいほどの抱擁。



身体中が先生の香りになって。



今が、一番しあわせだ。







「・・・あのな、柚井」




耳元に降るその声は。






教卓の向こう側。




人と人の向こう側。



何かの、向こう側。







そこから聞こえていた筈なのに。







今は────、












「・・・好きやで」










息遣いも分かるほど近くにある。
















『・・・っ遅い・・・遅いわ、馬鹿・・・』


「あぁ」


『私、ずっと・・・っ』


「あぁ」



『あなたのことしか・・・っ』






その先の言葉は。



先生に、呑み込まれた。















噛みつくように苦しいキス。


どうしてそんなに・・・




『ん・・・・・・、っむ・・・』



あぁ・・・ダメだ、もう・・・




───何も、考えたくない。










「・・・柚井・・・、あのな」


『っん・・・なに・・・』





ゆっくりと回される腕。


その腕が、優しくて。


その腕が、熱すぎて。



・・・溶けそう、って。




────こういうこと、なのか。












『・・・っ! いっ・・・』



耳朶が熱く燃える。


もう、嫌だ。おかしくなる。




・・・どうしても、逃げられない。





「───俺には、お前だけや」






─────俺?





『せ、んせい・・・今──っん』




熱が交わるキス。



「・・・アカンな」



先生の熱が、熱すぎて。



「・・・ニヤけてまうわ」



こっちまで───。





/ 144ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp