第1章 似た者同士は惹かれ合う?【花宮真】
この霧崎第一高校に赴任してから、
今日で丁度1年経つ。
購買のパンは美味しいし、
家からは近いし、
保健室のクーラーは丁度いいし、
この学校に不満なんて一切なかった。
・・・でも・・・、
─────ガラッ
『あ・・・どうし───』
「・・・またクソダセェ服着てんだな、チビ」
・・・この、花宮真を除けば・・・ね。
──────────────---
別に、弱味を握られている訳ではない。
ただ、あの日、から・・・
夏休みのとある日。
セミが鳴いてて、クーラーが効いてるこの部屋から一歩も出たくないなぁ、
なんて先生の特権を利用していたそんなある日。
『・・・うー職員室って普通に暑くない?
なんでちゃんと付けないんだか・・・』
多い書類を腕に抱えながら、
私は保健室のドアを引いた・・・
「あっ・・・も、誰か来たよぉ」
「いいから。声出さなきゃバレねえって」
・・・おっつ・・・
・・・く、ぅ・・・
こんなとこで何やってんの発情期の犬!
・・・生徒をこんな風に言っちゃいけないな。
つーか、どうすればいいの!?
え、注意するべき?
え、でも邪魔しちゃいけない?
個人の恋愛に首突っ込む訳にもいかないし・・・
え、でも教師として見逃すわけにはいかないよね!?
よしじゃあちゃんと注意を・・・
『・・・っ君───』
─────!!!!!?
なっ、誰・・・
突如腕を引かれ、廊下に出される。
むんむんとした暑い空気が、
首回りを掠めていく。
女子の喘ぎは廊下には漏れていない。
だからって安心って訳でもないけど。
『え、ちょ・・・君、』
「普通空気読むだろあんな雰囲気。
終わるまで待ってろよ」
『なっ・・・』
何言ってんのこの子!
公共の場所ではそんな行為許される訳が・・・
「チッ・・・」
し、
舌打ち・・・っ!?
せ、先生に向かって何を・・・
『き、君ねぇ・・・
何年何組の誰よ!?』
「・・・あ?」
『教師』だと言うことも頭から少し抜け、私は子供になっていた。
頭1個分上の目を、
キッと睨み付ける。
「・・・お前なんかに教える義務ねぇだろ。バァカ」
『んなっ・・・』
・・・なんだこいつ・・・。