第9章 言い過ぎじゃないっスか?【黄瀬涼太】
「維っちの準備できるまで、ずっと待つっスよ」
「っ~」
待つのは得意っスから!
「‥‥涼太も、言っていいよ」
「え?」
「‥‥やりたいこととか、して欲しいこととか‥‥」
「‥‥‥いいんスね?」
「‥‥あ、やっぱ待っ」
もう遅い!
維っちのその口を塞ぐ。
顎を掬えば、簡単に口が緩んだ。
「んっ‥‥‥はっ‥‥っ」
「‥‥‥維っち、もっとしたいっスよ。たくさん」
「ちょ‥‥これ以上は‥‥」
「なんで? 維っちの話聞いてあげたのに?」
「‥‥‥意地悪い」
維っちだから、っスよ。
ぐっとソファの方に倒そうとしたが、なんとか踏ん張られてしまった。
手強い‥‥。
「っ‥‥せめて、ベッドで‥‥」
「ベッドなら何でもいいんスね?」
「‥‥やっぱ今日はやめよう。眠い」
「俺は眠くないから! 付き合ってもらうっスよ~!」
抱き上げれば、簡単に連れ去ることができる。
所詮、女と男なんてそんなもんで、恋愛なんてそんなもんだ。
でも、この人とはずっと居たい。
ベッドに沈めた維っちの体は、熱があるみたいに火照っていた。
首に手を回してくるのがなんとも耐え難い。
「‥‥んむっ‥‥ちょ、早っ‥‥」
だって、維っちのせいだから。
俺も、我慢なんかできるご身分じゃないんで。
ずっと、このままでいたい。
・
・
・
「‥‥苦しい」
「別にいいじゃないっスか~、くっついてたいって言ったの維っちっスよ~」
「‥‥‥苦しい」
「んーっ」
「あ、ちょ、くすぐった‥‥ちょっ、バカ‥‥」
【END】