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何よりも大切な君に。【黒バス】

第9章 言い過ぎじゃないっスか?【黄瀬涼太】


黄瀬side─────---


「──維っち~! 愛する恋人が仕事に疲れながらも早く笑顔が見たくて帰ってきたっスよ~っ!」

「あはは、なにそれ」


おっふ‥‥幸せな光景。

玄関の扉を開ければ、そこには大大大大好きな恋人の姿。

しかもエプロン姿ときたもんだ。


「今日の夕飯、すき焼きなんだけど、いい?」

「おお! いいっスね!」


あの頃は卵焼きすら満足に作れないって喚いてた維っちが、ここまで成長するとは‥‥

愛の力って凄まじいっス。

つーか、後ろ姿が天使。エンジェル。

え、何これ、抱きついていいってこと? 抱きつけって?

───お安いご用っス!!!!


「っ、うわっ!?」

「あーーー、維っちーーー」

「ね、ねぇ、危ないから」

「片時も離したくないっスよ~」

「危ないって言ってんでしょうが」


あえなく撃沈。

包丁持ってる恋人に手は出しちゃいけないっスよね、了解っス。

さっきの殺気が嘘みたいに、鼻歌なんて歌い出す維っち。

あ、天使だ。天使がいる。


「ちぇー‥‥」

こんなに目の前に天使がいるのに触れないなんて。

これが本物の拷問っスよね。


「‥‥維っち~‥‥」

あー、ダメだ、聞こえてない。

「‥‥いけず」

「え?」

「聞こえてるっっ!?」



──────---

やっとご飯。

維っちの隣で食べられる!

「ちょ、いきなり何‥‥」

「充電っス」

「疲れてるんですね」

「なんで敬語」

これでもかと髪を撫で回していたら、早く食べてと怒られてしまった。

「いただきまーすっ」

「いただきます」

ポチっとテレビをつける。

金曜の夜にやるお馴染みの音楽番組がやっていた。

「あ、この人‥‥」

「ん?」

維っちの箸が止まる。

その視線の先には、若手ダンスユニットが居た。

「‥‥あ、この人この人。かっこいいよね」

「!?!?!?」

聞き捨てならねぇ。

思わず白菜を詰まらせる所だった。

「あはは、大丈夫?」

「ちょ‥‥今、なんて‥‥」

「ほら、今バク転した人。みんなかっこいいって言ってた。確かにかっこいいよね~」

「‥‥そうっスか?」

男からしたら普通にしか見えない。

‥‥バク転したらモテるのか?

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