第8章 シンデレラになりたくて。【灰崎 祥吾】
顔が。それどころか体全体が火照っていてヤバイ。俺まで溶けそうな気がしてきた。
「っん‥‥っはぁ‥‥」
「息‥‥しろって‥‥」
「っるさい‥‥っ」
少し長引いたキスだけで、バシバシ背中を叩かれる。
酸欠になられると困るし、もうキスはやめだ。
「‥‥タブらかしてるの?」
「‥‥おい、お前、俺の話聞いてた?」
「‥‥‥なに」
「‥‥好き、って、ちょー、恥ずいんだから、な」
「‥‥‥っあはは‥‥」
「おい笑うな」
服の中に手を忍ばせる。
野郎には無い独特な感触が、なんともそそられた。
「‥‥っ‥‥つめた‥‥」
「あったまることすんだろ、これから」
「‥‥いちいち比喩しなくていいから」
あーー、ったく、その顔。
やめろよ、心臓もたねェ。
「ムカつくなァ、おい‥‥」
「んむっ‥‥!!」
クリスマスだからな。
いつも汗水流してるお前も、今日くらいはオンナになったっていいだろ。
だけど、あれだ。
俺の方が、プレゼント貰っちまった。
維side───────---
翌朝。
「‥‥っ‥‥」
「‥‥腰痛ェの?」
「‥‥まぁ、ね」
「はじめてだったもんなァ。そりゃそうだよなァ」
「なにニヤニヤしてんの」
全く‥‥謎な男だ、本当に。
隣で横になっている男は、なぜか私の心を掴んで離さなかった、不思議な奴。
どうして、好きなんだろう‥‥こんなにも。
「‥‥‥んだよ」
「‥‥はは」
「なに笑ってんだよ、変な奴」
「あんたよりは変じゃない」
「あ? 犯すぞテメェ」
「勘弁して‥‥」
それにしても腰が痛い。
確かに、痛いとは聞いてたけど‥‥これほどとは。
「てゆーか! 力強すぎ! もげるかと思った!!」
「あァ!? お前も背中に爪立てすぎだわ!!」
「仕方ないでしょ、あれは!!」
「俺だって我慢できなかったんだよ!」
「‥‥‥」
「‥‥‥赤くなんのヤメロ」
【END】