第3章 優しいアイツ
怜央:「...不意打ちはズルい。」
凛花:「いつもやられっぱなしはイヤなんです。」
私は怜央に抱きついて胸に顔を埋めたまま 少しくぐもった声で反抗した。
すると怜央が頭を撫でていた手を腰に回した。
そして自分の方にもっと近づけるようにグッと力を入れた。
あ。
心臓の音がする。
医学的根拠とか全く分からないけど音が早い気がした。
もしかして私のさっきの行動でドキドキしてくれてるのかな?
顔を見れなかったから分からないけど もしもそうなのかなって思ったら嬉しくて思わず怜央の背中に回してる腕に力を込めた。
怜央:「どうした?」
凛花:「...なんでもない。」
怜央:「本当?」
凛花:「うん。」
そう言うと怜央はクスクスと笑いながら私の頭をゆっくりと撫でてくれた。
私も胸に顔を埋めたまま緩やかに口角を上げる。
洗剤の香りに混じって怜央の匂いがする。
それに練習の後のせいかもともと私よりも高い体温が更に少しだけ高くて 冷たい風が吹く下足室では暖かく感じる。
何故だか分かんないけどこの匂いと体温に包まれていると安心するな...。
そんなことを思いながら怜央が満足するまで私は抱きしめられていた。
♡...fin...♡