第7章 こんにちは。さようなら?
馬に揺られてどれくらい経っただろうか
彼女たちは一言も会話を交えないまま、拠点へと辿り着く
「 ここ… 」
見上げれば、自分のいた城と負けないぐらい大きなお城。
やっぱり権力のある人たちなのだ と改めて実感する
幸「 おーい、何つっ立ってんだ。こっち来いよ 」
幸が彼女の手を引いて門の方へと連れて行く
門の前には一人の男性が仁王立ちをしてこちらを見つめていた
気がつけば大きく手を振っている
その人物は、彼女も知っている人。
「 信玄さん… 」
武田「 なんだなんだ、連れ帰って来たのか?
女とは珍しいなぁ、謙信よぉ 」
上杉「 お前が珍しく好みだと長く語る分、どんな者か見ただけだ 」
武田「 織田の姫君だっていうのに良く連れて来たなー。
それで、幸は随分と仲が良くなったんだな? 」
幸「 何言ってるんですか? 」
武田「 ほら 」
そう言って、握ってる手を指さす。
確かにその先には、彼女の手を幸がしっかりと握っていた
幸本人も気付いたのか、ばっと手を離し口を開いた
幸「 !! これは、こいつが突っ立ってたから引っ張って来ただけです! 」
武田「 そうかそうか。良かったな 」
幸「 言いながら肩に手を置かないでくれませんか 」
佐助「 良かったね、幸 」
幸「 お前まで同じことをするな! 違ぇから! 」
上杉「 くだらん…。先に戻っているからな
佐助、その女を部屋を用意しておけ 」
佐助「 承知しました 」
( …私は一体なにを言えば )
ポツンと目の前の言い合い?を見つめる彼女
トントン と軽く肩を叩かれて、目を向ければ
佐助「 独香さん、部屋用意させておくから
とりあえず城の中を軽く案内するよ。こっちに来て 」
「 う、うん。 …えっと、幸さんたちは 」
幸「 信玄さんの方がよっぽど危ないですよ 」
武田「 謙信だって危ねぇだろ!
珍しく興味持ってんだぞ? あの子がなにされるのか考えるだけで… 」
幸「 いつも何かしそうな人に言われても… 」
武田「 あ、言いやがったな! 」
佐助「 いつか終わるよ。先に行ってよう 」
「 お、終わるのかな… 」
佐助「 いつものことだから 」
( いつもなんだ… )