第15章 (日→黒日)本田菊について検証してみます
人格その1。
これは人格というか、メインの人格というか、まぁいつもの菊だ。
物静かで、たまに見せる微笑みがとても綺麗で、一緒にいると無条件に安心する。
菊の手料理はとても美味しい。何度もご馳走になり、舌鼓を打って絶賛すると、頬をほんのりと染めて嬉しそうに「ありがとうございます」と言うのだ。
私はその顔が大好きだった。
「菊、あんまり手料理出しすぎると私が丸くなってくよ」
「璃々さんはもう少しふくよかでもいいくらいですよ。…それに、貴女の美味しそうに食べる表情が大好きなもので、つい」
「ぶはっ!そういう事素面で言う!?」
「いけませんか?」
「八つ橋八つ橋!包んで!」
「何故です」
「恥ずかしいし、女の子はその一言にも勘違いしたりするから」
「…勘違いしてくださって結構なのですが」
「…………」
にこにこする菊が全く普段通りにそう言うものだから、私はいつも本気にしていいのかわからない。
菊はめちゃめちゃモテてしまう。その原因はこの天然たらしみたいな部分もあるからだろうな、とぼんやり思った。
女の子は男子からの親切に弱い。菊なんて親切とサービスの塊なんだから、彼に優しくされたら誰だってイチコロだろう。