第11章 流されてしまいそう
チロチロと巧みな舌技でナナシのモノをしゃぶる
エルヴィンは卑猥だった。
乱れかけた髪がより一層彼の色気を増幅させているようにも見える。
人一倍快楽に弱いナナシはあっという間に
エルヴィンの口の中に欲望を吐き出してしまった挙句、
彼がそれを迷うこと無くそれを飲み込んだので絶句した。
「あぁ・・・美味しかったよ、ナナシ。君は本当に快楽に弱いね」
ペロリと舌舐りするように見えたエルヴィンの赤い舌が
とても艶かしくて、ナナシは顔を真っ赤にして目を伏せる。
「・・・・最悪だ。エルヴィンの馬鹿!・・・もうお主になんか
身体を触らせないからなっ!」
近くにあった枕を投げつけたが、
難なくそれを受け止められナナシの苛立ちが募った。
「すまなかった。君に触れられないのは地獄そのものだ。
許して欲しい」
ヘラリと力なく笑いながら頭を下げてくるエルヴィンは、
本当にコロコロとよく変わる男だと思う。
先程まで団長の顔をしていたかと思ったら、
男娼のような卑猥な表情を見せ、今では捨て犬のようになっている。
怒る気も失せ、ナナシは身支度を整えると
「今度勝手にやったらただじゃおかないからな」という言葉を
エルヴィンに投げつけ、さっさと自室を出た。
あのまま一緒の空間にいたら、
変な気を起こしてしまいそうだったから・・・・。
エルヴィンに流されないよう気をしっかり持たねば!と、
心に誓いながら、ナナシは実験が行われる草原へ向かった。