第2章 プロローグ
『異世(ことよ)』の掟を散々破ってきたナナシは
『妖連盟(あやかしれんめい)』という異世を統べる
議会のようなものに投獄されていた。
ナナシはそれを当然だと思っていたので黙って従っていたが、
いつも気になるのはエルヴィンの事だった。
自分を看取らされた彼は大丈夫だっただろうか?
ちゃんとご飯を食べて息災でいるだろうか?
そんな事ばかり考えている内に、ナナシの処分が決まった。
【―――『乙白百合姫(おとしらゆりひめ)』、
あちらの世界に残してきた異物を早急に回収してくるべし。
回収後、追って沙汰を下す】
『妖連盟』から下された処分にナナシは呆然としたが、
予想以上に早くあちらの世界に戻れるなら・・・と考え直す。
恐らく、『心臓』を回収して戻ってきた時、本格的な罰が下されるのだろう。
それこそ、死刑か拷問などの懲罰を含む終身刑などの重いものを。
だが、それでも構わなかった。
もう一度エルヴィンや他の皆と会えるかもしれない希望を抱けた。
向こうの世界でもそこまで年数は経ってないはずだ。
ナナシは『妖連盟』によって様々な制限を加えられた後、
強制的にあちらの世界に戻されたのだった。