第15章 エレンの幼馴染
その日の午後、ナナシはエレンに対人格闘の稽古をつけていた。
猪突猛進な攻撃を軽く往なしながら、
ナナシはエレンを投げ飛ばす。
「お主の攻撃は真っ直ぐ過ぎる。時にはフェイントとか入れて
相手に行動を読まれないようにしなければ、やられるぞ」
「いててて・・・」
どうやら受け身が上手く取れなかったらしく、
エレンが相当痛がっていたので、ナナシは手を差し伸べ
「大丈夫か?」と声を掛けた。
―――――その時、
「エレンを虐める奴は許さないっ!!」
突如現れた黒髪の少女が間に入ってきて、
ナナシに攻撃を仕掛けてきた。
次々繰り出されるキレの良いパンチと蹴りを往なしつつ、
ナナシは相手を観察する。
そして、ある事に気づいた。
―――筋力、運動神経共にエレンを遥かに上回っている。
これはとんでもない逸材だぞっ!?
まだ若いからこれから伸びればリヴァイと同等か、
それ以上の兵士になるかもしれないっ!
調査兵団にこんな逸材が入っていたとは・・・と心を高揚させたが、
見ず知らずの相手にいきなり殴りかかってくるのは頂けない。
ナナシは相手の腕を捻り上げた上、
思いっきり地面に叩きつけるように投げ飛ばした。