The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第18章 Cooperation -協力-
『っ……!?』
もう少しで出られる……。
そう思ったその時、
私は出口の直前で足がもつれて、転びそうになってしまった。
……死ぬ……!!
「っ……バカっ!!」
もうダメだと肌で感じたその矢先に、
ザックの鋭いそんな声が響いた。
ザックの手が私を捉えて、
一瞬で外にへと引きずり出す。
ザックは運動神経が良い。
彼が、走るのにそれほど苦痛を感じるはずがないのに、
荒く、肩で呼吸をしていた……。
私をぎゅうっと強く抱き締めたザックは、
頼りない声で小さくこう呟いた。
「……無理すんなっつったろ……。」
『……ごめん。
無理しているつもりは、なかったんだけれど……。』
ザックの小さな声に小さな呟きを返すと、
彼はハッとして私と身体を離した。
彼の瞳には、動揺と困惑が見て取れる。
その感情を打ち消すように頭を左右に振ってから
1つ舌打ちを零した。
「…にしても、
いい加減にしろよ!!ふざけんなよ!!
ここのフロアの奴の頭いかれてんな!!」
苛立った様子でそう叫んで、
ザックは先程まで開いていたはずのドアを
力いっぱい蹴飛ばした。