The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第17章 Confirmation ー確認ー
ザックは、乱暴に見えて……
実は優しくて、誰よりも真っ直ぐだった……。
……そんな彼に、
少なくとも私の心は翻弄され、
時たま、心臓が五月蝿く脈打つのだった……。
「……んじゃ、行くか。」
『う、うん……。』
ひとしきり私の頭を撫でたザックは、
爪先を降る階段の方へ向け、歩き出した。
私も小走りでそれに続いた。
階段を降ると、
そこは、何処の家庭にもあるような、
普通のキッチンだった。
……唯1つ。
血のような赤黒いもので、何か引きずられたようなシミが、
残っている以外には……。
生々しい赤黒いシミを見て、
私はサッと顔を背けた。
地面に視線を滑らせたその時……____
部屋の中央にあるテーブルの下に、
小さなドアを見つけた。
……ザックに、
テーブルを退けてもらおうかな……。
「……あ?
なんだこれ、食えんのか……?」
……と、そんなことを考えていたその時……、
ザックがそのテーブルの上に置いてあったピザを頬張った……。
『あ、食べない方が……』
言った時には、
時すでに遅し……。
モグモグ…と口を動かしていたザックが、
ピタリと動きを止めた。
「……
〜〜辛ぇっ‼」
辛かったらしい残りのピザを再びケースに放り投げ、
口に残ったものを吐き捨てて、
ザックは怒った感情に任せて、
そこのテーブルと椅子を蹴飛ばした。
ードンッ‼ー
テーブルや椅子やらが壁に当たって、
ものすごい音がした。