The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第15章 Trial ー裁判ー
…なんでまた……。
これは……、過去なの?
……それとも、走馬灯[シネマティックレコード]……?
私は、死んだの……?
少し首を傾げて、
私は"被告人"として裁判所にへと……
足を踏み入れたのだった……。
「……被告、如月悠は、
職権を濫用し、愛した男を無罪にした。
……異論は?」
…………ああ。
そうか。
そうだったな…………。
……記憶は、解き放たれた……____
私は小さく息を吸いこんだ。
『……何度も申し上げました通り……。
私があの男が"無罪"だと思ったので無罪にしたまで。
職権を濫用したわけではありません。
……あの男は、公平に、正しく裁かれた。
それがわからないとは……、
貴殿らの目は節穴か……。』
……私は別に、
その男を愛しているわけではなかった。
……正直、その時の私は
"愛"など無意味だと……無価値だとも思っていた。
ただ公平に裁き、無罪だったから
そう判決を下したまで……。
それがわからない
上層部のヒトは、
かなりの無能ぶりらしい…………。