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The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー

第13章 Guinea pig ーモルモットー






「は、はい……。」



先日来たばかりの278号は、
震えていた……。


無理もない。

唐突に連れてこられて、
何をされるのかさえもわからない、
色の無い世界……。

その子の瞳は、
困惑と恐怖に彩られ、
悲しそうに揺れていた……。


もしかしたら、
お金のために、両親や親戚にでも
売られたのだろうか……。


……もう。
怯えることも疲れた……。


ずっとここにいる私はそう考えて、
自分に振り分けられた"部屋"という名の
監獄に戻る。

戻った私は、
何も知らずに、平和そうに澄んだ
窓の外の淡い色の青空を見上げながら、
テーブルに頬杖をつく。

窓はとても高い位置にあり、
手を伸ばしても、椅子やテーブルを使っても……、
届きそうにない。

そして、
窓枠には当然かの如く、
鉄格子が嵌められている……。


ここに、自由なんかない。


……ここにいる大人はクズだ。

子供を、"人間"として見ていない。
……だから、名前なんてものでは呼ばない。

ただの"道具"としてしか見ていない。



…………結局、
先日来たばかりの278号は、
その日のうちに死んでしまった……。



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