The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第12章 Master and servant ー主従ー
少女は、絶望していました。
……自分は、何故こうも報われないのだろうか…。
怖い。
何もかも。
この目に映る、何もかもが……____
再び闇オークションに出品された少女は、
ある"組織"に高値で買われました。
「……ああ。
これは良い品だな。」
「……ええ。
これは路頭に迷っているのを拾ったんですが……。
元々は良い育ちのようで、
調教などは一切受けておりません。」
「鑑賞用として楽しむも良し。
愛玩するも良し。
儀式用にも映えるでしょう。」
「バラ売りするのもお客様次第。
元は必ず取れるでしょう…。」
「この少女の瞳は、
深い闇を閉じ込めた
夜空を映し出した夜の海……____
眺めるのは、お買い求めになった後で……。」
「……さぁ、
初めは2000からで如何でしょう?」
ー……3000ー
ー4000…‼ー
ー5000‼ー
……値段はどんどん跳ね上がります。
少女は、真っ暗な闇の中…
何もわからずに、怯えていました。
……怯えて、震えながら、
朗々と聞こえる声に、耳を傾けました。
目を覆う重い布の隙間からは……
逆五芒星が見えました……。