The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第12章 Master and servant ー主従ー
昔々……____
と、言っても、
そう遠くはない昔……。
家族にとても愛された、可愛らしい女の子がいました。
ですが、
その少女の行く先々で、様々な不幸が重なります。
両親が亡くなった今は、
少女を庇おうと、護ろうとする人など、いませんでした……__
少女は、海外の孤児院にたった1人…引き取らました。
……少女はそこで、長い時を過ごしました。
やがて少女は、美しく成長します。
その後、1人の老女に出会いました……。
「……あなたは、両親を殺した人や、
あなたを庇護しなかった人達を、
憎んでいますか……?」
老女は少女に訊ねました。
すると少女は、そっと静かに……
ですがはっきりとした声音で答えました。
『……いいえ。
私は、彼らを憎んではいません。
……憎しみからは、何も生まれません。
ですから私は、これからも憎むことはないでしょう。』
……なんと模範的な解答でしょう……‼
老女は、海辺の街の教会のシスターでした。
……老女は、深く微笑んで、
その少女をシスター見習いとして引き取ることを決めました。
その時の少女は、本当に幸せでした。
……ようやく、自分の生きる意味を、
自分の生きられる場所を、見つけることができたのです……‼
……ですが、そんな幸せも……。
そう長くは続きませんでした……。