第2章 ~今更シングルスなんて~
柳生「わ、私は…」
仁王「辞めさせんよ。テニス…パートナーがおらんかったら、ダブルスは出来んからの」
柳生「私がいないなら、シングルスをすればいいでしょう」
仁王「今更シングルスなんて…戻る気はない」
そして、そうやって釘を刺す一言を口にするのは、私にそう言えば、私が考えを変えると分かっているからなのです。
―――本当に恐ろしい人だ…
確かに、テニスは好きですし、出来ることなら辞めたくはありません。
それが、仁王くんとのダブルスだと、余計なのでしょう。
ですが、私は仁王くんや幸村くん、真田くんのようにテニスの才能なんてありません。
このままテニスを続けても、未来で役に立つとは到底思えません。
現実は甘くないのです。
それに、私には“それでもテニスを続けたい”―――そんな勇気も、強い気持ちもないのですから、テニスを続ける資格なんてありません。