第5章 ドS彼氏の初デート
これは7月のある日。
学校の教室で起きた出来事──
「美琴……。
今度、2人で映画観に行かねぇ?」
私、日笠美琴。
彼氏に初めてデートに誘われましたっ!!
「チケット貰ったんだけど…。男2人で行くような内容の映画じゃなくて、悠太と行きたくねぇから……。
だから、お前と行こうと思ったんだけど……」
これって、デートに誘われてるってことでいいんだよね!?
恋人が2人で映画って、デートだよね!!?
「それでさ、来週の日曜空いてるか?」
え、ちょっと待って。デートとかしたことないし、服何着ていけばいいの!?
てか、デートとか緊張ハンパないって!
転んだらどうしよう?
誰か、ヘルプ ミー───
「……おい、聞いてんの?俺の話…」
「…ひゃぁっ……」
そんなことを考えてたら、いきなり愁夜くんに耳元で囁かれた。
彼の吐息と綺麗な髪が耳にかかって少しくすぐったい。
「ちょっ、愁夜くんっ……。耳くすぐったいよっ……」
「あ?お前が話聞いてないのが悪いんだろ?
てかお前、教師の話も聞かねぇよな…。だから補習するハメになるんだよ。バァカ……」
愁夜くんは私の髪を耳にかけてより近くで囁いてくる。
絶対楽しんでるよ、愁夜くんっ!
しかもここ教室!誰かに見られたら恥ずかしいっ!!
「うぅ……」
……でもこの彼氏様に逆らって、勝てる気はしない。