第4章 ドS彼氏、教える
一度立ち上がった愁夜くんだが、私が身体を起こすと私の前で目線が合うようにしゃがんだ。
「これでわかったか?
…これが本当の俺。で、俺の愛しかただ。
お前と付き合う前…いや、出会う前からこんなんなんだよ」
彼はまっすぐ、私を見つめる。
その瞳からわかった。
彼は本当のことを言っているんだと。
真実は彼の言う通りなんだと──……。
「だから別に、お前と付き合ったからこうなったわけじゃねぇ。……わかったか?」
「…………」
私は声は出さずに、こくんと頷いた。
すると愁夜くんは立ち上がり、私に背を向けた。
「……あのさ。お前、今俺のことどう思ってんの?
…怖い?って、そりゃそうか。
さっきめちゃくちゃ怯えてたもんな、お前。
まぁ、めっちゃ可愛かったけど?」
彼の表情は見えないけど、きっと彼は怪しい笑みを浮かべているんだろう。
……しかし、その予想は外れた。
彼が少し振り向いたため、横顔が見えたのだが……。
その顔は笑みがなく、かなり真剣なものだった。
そしてその彼の唇が、ゆっくりと動く。
「あのさ、美琴……。
こんな俺が嫌なら、俺と別れろ」
彼の唇によって紡がれたその言葉は、今までで一番冷たいものだった。