第4章 ドS彼氏、教える
*美琴side*
あれから、約2週間が経ち、6月となった。
愁夜くんとは、一言も話していない。
彼から話しかけることもないし、私は彼を避けるように過ごしていたから。
でもクラスが一緒なので、どうしても視界に彼の姿を入れてしまう。
彼のことを怖いと思っていても、やっぱり好きなことに変わりはなくて。
でも、話しかけることも目を合わせることも出来ず、ただ眺めていることしか出来なくて。
このまま私達の関係は崩れてしまうのかな、なんて考えてしまう。
「………ぃ、…………」
今だって、後ろから彼のことを眺めてしまっている。
「………ぃ、……てるのか……」
私の苦手な教科である数学の授業中だっていうのに、こうやって……
……って
「おい!!聞いてるのか日笠!!」
「……!!
っは、はいぃぃぃっっ!!」
ヤバイぃぃっ!授業中だったぁぁっ!!
しかも、数学の先生(男)はめっちゃ怖いのにーー!!
私の机の前にいる先生は私の方をギロリと睨みつけた後、はあ……と一つ溜息をつき、
「…時間の無駄だ……。
日笠、お前は授業後、俺のところに来るように」
教卓の前に戻って行った。
__この後、あんなことになるなんて。
この時、私は思いもしなかった。